基本的な矯正治療の流れ
治療開始が必要と思われる場合には、まず顔面や口腔内その他の検査を行います。
矯正治療は、患者様個々の年齢や成長段階、上下の顎のバランス、咬み合わせの不正状態などによって治療の開始時期や治療方法,装置が異なります。検査を受けていただいた上で現在の状態を把握し、診断の結果を基に治療計画を立てることで、患者様お一人おひとりに適した治療法,装置をご説明できます。
大阪市西区阿波座、本町駅すぐのタニ矯正歯科クリニックでは、矯正治療を以下のような流れで行っております。
- 初回矯正相談
- 検査
- 診断(現在の症状や原因の説明とそれに基づく治療計画,そして費用などの説明)
- 矯正治療開始
- 保定ならびに経過観察
早期矯正治療(第一段階矯正治療)の流れ
早期矯正治療(第一段階矯正治療)は、乳歯列期や混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している時期:6~12歳頃)に行う治療です。中には、早期矯正治療が必要がないと考えられる場合や年齢や口腔内の歯列の状態から、本格矯正治療をスタートする場合もあります。
1.初回矯正相談
歯並びや咬み合わせなどのお悩みをお伺いした上で、先生がお子様の顔貌や口腔内の状態(歯並び・咬み合わせその他)を診査した上でご説明しております。現在の口腔内の状態や将来考えられる不正や障害、そしてこれから考えられる治療の方法や使用する装置、治療期間、費用などについてもご説明しております。
2.検査
長年の矯正治療経験を持つ、院長による視診や触診,そして顔面写真や口腔内写真、セファログラムやパノラマX線写真など各種レントゲン写真の撮影などの検査を行います。
3.診断(患者様の口腔内や咬み合わせの現状と不正の原因そしてこれからの治療計画の説明、費用などについての説明)
日本矯正歯科学会認定医の院長がご説明します。
4.矯正治療の開始
診断の時の説明に納得されてはじめて、治療計画に基づいて矯正治療を開始します。
診断の結果、必要と認められる患者様は、拡大装置、ヘッドギアなどを単独,あるいは補助的に併用していきます。いずれも、お子様の顎や歯列のバランス良い成長を促す目的で使用していきます。上下の顎の成長や前後あるいは側方関係が正しくなるとその後の歯列あるいは咬合関係にも良い結果を生むものと考えます。
5.歯磨き指導、歯のクリーニング
矯正治療中は、お口の中に装置が付きますので、どうしても食後に食べ物が装置に付着しやすく、虫歯のリスクが高まります。ご自宅でお子様がご自身で行うために分かりやすく歯磨き指導を専用歯ブラシの紹介をした上で行います。
また、矯正治療中はご来院時に口腔内のクリーニングも行います。歯磨き指導では、磨けていないところをお伝えし、その部位の磨き方を指導、その後の歯磨き習慣に活かしていただきます。
矯正装置を付けていない場合でも、この時期に正しい歯磨き法や習慣を身につけておくことは、歯の健康や口腔衛生のためにも非常に重要です。
6.保定・経過観察
移動した歯を安定させるために必要と考えられる方は、保定装置を使用,装置の必要を認められない方は装置を使用しない状態で経過観察をしていきます。
7.早期矯正治療の終了
早期矯正治療は、永久歯列完成時にほぼ終了となります。
矯正治療開始前前後の変化や今後の注意点などをご説明し、本格矯正治療が必要でない方はこれで終了となります。
本格矯正治療(第二段階矯正治療)の流れ
本格矯正治療(第二段階矯正治療)は、早期矯正治療(第一段階矯正治療)を終えて、永久歯が生え揃った時期(永久歯列完成期)以後に行うものです。早期矯正治療により当初の不正の改善が見られたものの、歯個々の不正の改善や上下顎歯列関係の改善がさらに必要な場合は、本格矯正治療に移行し、本格矯正治療をスタートします。
また、初来院時、年齢が高く、すでに永久歯列の患者様の場合は、本格矯正治療からのスタートとなります。
1.初回矯正相談(すでに永久歯列が完成している患者様)
歯並び、咬み合わせなどのお悩みをお伺いし、診査した上で患者様の現在の状態(歯並び・咬み合わせなど)を説明し、それによる障害や治療に際して使用する装置や治療期間、費用などについて説明いたします。
2.検査(早期矯正治療から本格矯正治療へ移行の方は2回目の再検査となります)
顔面や口腔内の診査やそれらの写真撮影、セファログラムやパノラマX線等のX線写真、などの検査を行います。
3.診断
検査による資料をもとにこれからの治療の方針や装置,費用などについて、日本矯正歯科学会認定医の院長がご説明を致します。
4.矯正治療の開始
患者様各々の治療方針に従って、矯正治療を開始していきます。治療がスタートすると装置の装着や調節などを行うため、治療状況に合わせてご予約の上、来院して頂きます。
5.装置の取り外し
治療が進み目標とする咬合,並びに咬合関係が得られたと思われた時点でそのことを患者様にご説明の後、納得が得られれば矯正装置を取り外していきます。
6.保定
治療により得られた歯並びや咬合の安定をはかるため、多くの場合、保定装置(リテーナー)を装着し、観察していきます。
7.保定期間(継続的な観察期間)
保定装置に移行したあとも、装置を指示通りに使用しないと歯列や咬合が安定せずに後戻りを起こす場合もあります。また使用に伴い装置のゆるみなども起こりますので、定期的にチェックを受けることが必要です。 せっかくステキな歯並びや咬合になったのですから、虫歯や歯周病の予防にも気を付け,口腔内を清潔に保つことが大切です。
いつから矯正治療をしたらいいの?
矯正治療を開始する時期は、お子様の歯並びや咬み合わせの状態、上下の顎の関係,年齢や成長の状態によって異なります。つまり、早ければいい、遅ければ駄目、というものではありません。
ただ多くの場合においては、前歯が永久歯に生え代った段階(混合歯列期)に早期矯正治療(第一段階矯正治療)を開始する必要がある方も多く、早期矯正治療を受け、不正が改善され,ブラケットを使用する本格矯正治療に移行しなくてもよい方もいます。
また将来、本格矯正治療が必要となる場合であっても、不正の程度の軽減により、治療期間の短縮や治療の負担の軽減を行うことができる場合があります。
ご相談の時期について
治療開始の時期が適切であれば、より良い治療結果が期待できます。ですから、気になったときにはまずご来院ください。特に受け口や交叉咬合が認められる場合には、乳歯列期や混合歯列期の早期に矯正治療を開始することでより良い効果を得ることがありますので、お早めのご相談をお勧めします。
ご相談にお越しいただければ、すぐに装置を着けて治療を開始する必要がある無しといったことだけでなく、数ヶ月に1度チェックが必要な場合,そのこともお伝えします。また、歯並びや咬み合わせだけでなく、お口の中の衛生などについて予め歯科医や歯科衛生士からきいていれば、お口の健康維持に役立てることができると思います。
乳歯列期に始める矯正治療(受け口、交叉咬合で早期の改善が必要と思われるケース)
乳歯列期(2.5歳~6歳頃)から矯正治療を開始するケースは多くはありませんが,将来の骨格の不正を予防するためや機能的な不正の改善を目的に矯正治療を行うことがあります。(受け口や交叉咬合その他悪習慣が影響する場合など)
取り外しのできるプレートタイプの装置やアクチバートルなどを使用して不正を改善していきます。
受け口
下顎の前歯が、上顎の前歯より前方に咬み合っているケースで「反対咬合」や「下顎前突」と呼ばれます。
交叉咬合
上下の歯が、前後や左右にずれて咬み合っている状態を言います。
混合歯列期に始める矯正治療
一般にお子様の矯正治療をお考えになる時期は混合歯列期が多いと思われますが、この時期における治療の開始は小学校低学年以後となります。
前歯が永久歯に生え代わるのとほぼ同じ時期に、6歳臼歯が生えてくることにより、将来の歯並びの不正が予測されるためです。
混合歯列期(6歳~12歳頃)に上下顎や歯と顎の関係、咀嚼機能を正しくしておくと、よい永久歯の咬合関係が得られます。もし永久歯列において本格矯正治療が必要となった場合でも本格矯正治療において、より良い結果が得られる,治療期間が短くなるといったこともあります。
歯が正しく生えるスペースの不足が考えられる場合、顎や歯列弓の拡大をはかり、永久歯が正しい位置・方向に生えるように治療していきます。このように将来の咬み合わせや歯並びを予測した矯正治療が必要となります。
また、拡大のためにはさまざまな方法や装置があり,取り外し式の装置もあれば、固定式の装置もあります。治療の目的により矯正力の強さや時間、装着期間の違いなどを考慮しながら、患者様の治療に合った方法・装置を選択していきます。